-showstatusオプションを指定してttRepAdminユーティリティを使用すると、レプリケーション・データ・ストアの現在のステータスおよびレプリケーション・ピアとの関係を表示できます。ステータス出力には、問い合されたデータ・ストアのレプリケーション・エージェントで使用されるブロックマークの位置、ポート番号および通信プロトコルが含まれます。
ttRepAdmin -showstatusの出力には、レプリケーション・エージェントで使用されるMAINスレッド、TRANSMITTERスレッドおよびRECEIVERスレッドのステータスが含まれます。マスター・データ・ストアにはTRANSMITTERスレッド、サブスクライバ・データ・ストアにはRECEIVERスレッドがあります。双方向レプリケーション・スキームでマスター/サブスクライバとしての機能するデータ・ストアには、TRANSMITTERスレッドおよびRECEIVERスレッドの両方があります。
各レプリケーション・エージェントには、ポートでピア接続をリスニングする単一のREPLISTENERスレッドがあります。マスター・データ・ストアでは、REPLISTENERスレッドがサブスクライバ・データ・ストアごとに個別のTRANSMITTERスレッドを開始します。サブスクライバ・データ・ストアでは、REPLISTENERスレッドがマスターからの接続のたびに個別のRECEIVERスレッドを開始します。
TimesTenデーモンがレプリケーション・エージェントの停止を要求した場合、またはレプリケーション・エージェントで使用されている他のいずれかのスレッドで致命的なエラーが発生した場合、MAINスレッドは他のすべてのスレッドが正常に終了するまで待機します。TimesTenデーモンは、致命的なエラーの種類に応じて、レプリケーション・エージェントを再起動する場合もしない場合もあります。REPLISTENERスレッドは、レプリケーション・エージェントの存続期間中には終了しません。TRANSMITTERまたはRECEIVERスレッドは停止する場合がありますが、レプリケーション・エージェントによって再起動されます。RECEIVERスレッドは、リカバリ不可能なエラーが発生した場合、またはマスターが接続を切断した場合に終了します。
例5.15に、rep1データ・ストアがマスターで、rep2がデータ・ストアサブスクライバである単方向レプリケーション・スキームのttRepAdmin -showstatus出力を示します。最初のttRepAdmin -showstatus出力は、rep1データ・ストアおよびそのTRANSMITTERスレッドのステータスを示します。2つ目の出力はrep2データ・ストアおよびそのRECEIVERスレッドのステータスを示します。
例の後の項では、ttRepAdmin -showstatus出力の各フィールドの意味について説明します。
rep1データ・ストアからrep2データ・ストアへの単方向レプリケーション・スキームについて考えてみます。
CREATE REPLICATION r ELEMENT e1 TABLE t MASTER rep1 SUBSCRIBER rep2;rep1データ・ストアのレプリケーション・ステータスは、次のようになります。
> ttRepAdmin -showstatus rep1 DSN : rep1 Process ID : 1980 Replication Agent Policy : MANUAL Host : MYHOST RepListener Port : 1113 (AUTO) Last write LSN : 0.1487928 Last LSN forced to disk : 0.1487928 Replication hold LSN : 0.1486640 Replication Peers: Name : rep2 Host : MYHOST Port : 1154 (AUTO) Replication State : STARTED Communication Protocol : 12 TRANSMITTER thread(s): For : rep2 Start/Restart count : 2 Send LSN : 0.1485960 Transactions sent : 3 Total packets sent : 10 Tick packets sent : 3 MIN sent packet size : 48 MAX sent packet size : 460 AVG sent packet size : 167 Last packet sent at : 17:41:05 Total Packets received: 9 MIN rcvd packet size : 48 MAX rcvd packet size : 68 AVG rcvd packet size : 59 Last packet rcvd'd at : 17:41:05 Earlier errors (max 5): TT16060 in transmitter.c (line 3590) at 17:40:41 on 08-25-2004 TT16122 in transmitter.c (line 2424) at 17:40:41 on 08-25-2004rep2データ・ストアのレプリケーション・ステータスは、次のようになります。
> ttRepAdmin -showstatus rep2 DSN : rep2 Process ID : 2192 Replication Agent Policy : MANUAL Host : MYHOST RepListener Port : 1154 (AUTO) Last write LSN : 0.416464 Last LSN forced to disk : 0.416464 Replication hold LSN : -1.-1 Replication Peers: Name : rep1 Host : MYHOST Port : 0 (AUTO) Replication State : STARTED Communication Protocol : 12 RECEIVER thread(s): For : rep1 Start/Restart count : 1 Transactions received : 0 Total packets sent : 20 Tick packets sent : 0 MIN sent packet size : 48 MAX sent packet size : 68 AVG sent packet size : 66 Last packet sent at : 17:49:51 Total Packets received: 20 MIN rcvd packet size : 48 MAX rcvd packet size : 125 AVG rcvd packet size : 52 Last packet rcvd'd at : 17:49:51
次のフィールドは、問い合されたデータ・ストアのレプリケーション・エージェント内のMAINスレッドの出力です。
MAINスレッド
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説明
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DSN | 問合せ対象のデータ・ストアの名前。 |
Process ID | レプリケーション・エージェントのプロセスID。 |
Replication Agent Policy | 再起動ポリシー(「レプリケーション・エージェントの起動および停止」を参照)。 |
Host | このデータ・ストアをホスティングするマシンの名前。 |
RepListener Port | レプリケーション・エージェントがリモート・レプリケーション・エージェントのTRANSMITTERスレッドからの接続をリスニングするために使用するTCP/IPポート。値が0(ゼロ)の場合は、このポートがレプリケーション・スキームの一部として指定されているのでなく、レプリケーション・エージェントに自動的に割り当てられている(デフォルト)ことを示します。 |
Last write LSN | データ・ストアに対して最後に生成されたトランザクション・ログ・レコードの場所。詳細は、「レプリケート・ログ・レコードの表示」を参照してください。 |
Last LSN forced to disk | ディスクに最後に書き込まれたトランザクション・ログ・レコードの場所。ディスクレス・ロギングが有効になっている場合、この値は-1/-1になります。詳細は、「レプリケート・ログ・レコードの表示」を参照してください。 |
Replication hold LSN | サブスクライバに送信するためにログ内に保持されている最下位(最も古い)レコードの場所。値が-1/-1の場合は、レプリケーションがすべてのサブスクライバに対してStop状態であることを示します。詳細は、「レプリケート・ログ・レコードの表示」を参照してください。 |
次のフィールドは、問い合されたデータ・ストアのレプリケーション・スキームに関連している各レプリケーション・ピアの出力です。ピアは、マスター、サブスクライバ、プロパゲータ、または双方向レプリケーション・スキームではマスターとサブスクライバの両方の役割りを果たすことができます。
レプリケーション・ピア
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説明
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Name | このデータ・ストアのレプリケーション・ピアであるデータ・ストアの名前。 |
Host | ピア・データ・ストアのホスト・マシン。 |
Port | ピア・データ・ストアのレプリケーション・エージェントが使用するTCP/IPポート。値が0(ゼロ)の場合は、このポートがレプリケーション・スキームの一部として指定されているのでなく、レプリケーション・エージェントに自動的に割り当てられている(デフォルト)ことを示します。 |
Replication State | 問い合されたデータ・ストアに対するレプリケーション・ピアの現在のレプリケーション状態(詳細は「サブスクライバのレプリケーション状態の設定」を参照)。 |
Communication Protocol | レプリケーションがピア間で通信を行うために使用する内部プロトコル(内部専用)。 |
次のフィールドは、マスター・レプリケーション・エージェントがトランザクション更新をサブスクライバに送信するために使用する各TRANSMITTERスレッドの出力です。対応する複数のサブスクライバがあるマスターは、複数のTRANSMITTERスレッドを持つことになります。
TRANSMITTERスレッド
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説明
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For | レプリケート・データをこのデータ・ストアから受信するサブスクライバ・データ・ストアの名前。 |
Start/Restart count | 処理のタイムアウトやネットワーク障害などの一時エラーが発生したため、レプリケーション・エージェントによってこのTRANSMITTERスレッドが起動または再起動された回数。 |
Send LSN | このピアに最後に送信されたLSN。詳細は、「レプリケート・ログ・レコードの表示」を参照してください。 |
Transactions sent | サブスクライバに送信されたトランザクションの合計数。 |
Total packets sent | サブスクライバに送信されたパケットの合計数(ティック・パケットを含む)。 |
Tick packets sent | 送信されたティック・パケットの合計数。ティック・パケットは、マスターとサブスクライバの間のハートビートを維持するために使用されます。この値を使用すると、レプリケート・データと関連していない「Total packets sent」パケットの数を確認できます。 |
MIN sent packet size | サブスクライバに送信された最小パケットのサイズ。 |
MAX sent packet size | サブスクライバに送信された最大パケットのサイズ。 |
AVG sent packet size | サブスクライバに送信されたパケットの平均サイズ。 |
Last packet sent at | パケットが最後に送信された日時(24時間制表示の時刻)。 |
Total packets received | サブスクライバから受信されたパケットの合計数(ティック・パケットおよび確認応答データ)。 |
MIN rcvd packet size | 受信された最小パケットのサイズ。 |
MAX rcvd packet size | 受信された最大パケットのサイズ。 |
AVG rcvd packet size | 受信されたパケットの平均サイズ。 |
Last packet rcvd at | パケットが最後に受信された日時(24時間制表示の時刻)。 |
Earlier errors (max 5) | このスレッドによって最後に生成された5つのエラー。 |
次のフィールドは、サブスクライバ・レプリケーション・エージェントがマスターからトランザクション更新を受信するために使用する各RECEIVERスレッドの出力です。複数のマスターによって更新されるサブスクライバは、複数のRECEIVERスレッドを持つことになります。